卒業式といえば『涙』と『泣かせる音楽』はつきもの。とくに海援隊が唄う『贈る言葉』は一瞬にしてその風景と切なさを蘇らせる。

ただ私は卒業式では1度も泣いたことがなかった。なぜなら『当時は仲間との別れの辛さより、次に起きる新しい出会いの期待の方が大きかったから・・・』。

卒業式が終わり、最後の見送りのため校門で待っていた女性担任の先生に『涙の笑顔』でこう言われた。『〇〇君は強いね、これからも頑張ってね』今でもあの切ない『涙の笑顔』が忘れられない。

その後『卒業式』を繰り返し、学生から社会人になった。今では結婚もして家庭も築き、どこにでもあるような平凡な『幸せな生活』を日々すごしている。20代までは前だけを見て、人生まっすぐに送ってきた私でしたが、30代以降は歳相応の苦労・挫折を繰り返し、気がつくと過去を懐かしむようになっていた。

そんなある日、突然私の中である想いが走った。『あの先生、今どうしているんだろう?』すでに卒業式から20年が経過している。私の頭の片隅にあった想いは次第に大きくなっていった。途切れた人脈を辿り、やっと居場所が分かり連絡することが出来た。『声は全く変わっていない』本当に嬉しかった・・・。

やがて今度お会いするという話しになり、連絡のつく同級生も一緒に集まることになった。ミニ同窓会です。小さな居酒屋を貸し切りで行われ、25名も集まった。当時の面影のある人、ない人、髪の毛が薄くなった人、立派な商社マンになった人、親の家業をついだ人、起業をした人、お子さんを生んで母親になった人・・・。あの卒業式以降、みんなそれぞれの人生を立派に力強く歩んでいた。『卒業式以来だよな~、何年ぶりだ?』『あの頃は楽しかったな~』『お前、卒業式の時制服の第2ボタン全部残っていたろ~』『実はあの時、〇〇さん好きだったんだよ~』懐かしむというだけではなく、まるで今まで歩んできた自分という人間の存在価値を、お互い確かめるかのような雰囲気にも感じた。

そこに集まった人はあの『卒業式』から同級生に対しての想いは止まったままだったのです。立派になった同級生を見て、ある意味これが本当の『卒業式』だと思った。今ではこのミニ同窓会を縁に、新たな関係として励まし合い生きています。これもあの『卒業式』での先生の涙の笑顔がなければ起こらなかった1ページです。最後に同窓会で一番最初に涙を流したのは『私』でした・・・。