中学の卒業式で好きだった人に告白した事を今でも懐かしく思い出します。高校生にもなると、ましてや3年生ともなると季節構わずだいたい当人同士の間で何となくのカンケイになっていて、わざわざ卒業式に告白するみたいなスリリングなことはしないものでして、我が校の卒業式は告白するまでもないカップルが何組か固まって校門から出て行くという感じでした。

それに比べて中学の卒業式は、かわいかったですよね。わざわざ相手を呼び出してプレゼントを渡したり、憧れの先輩の制服ボタンをもらうとか、しかも、わざわざ呼んできてもらう友達がいて、その友達にドキドキしながら相談したりして・・・。少女マンガそのものの世界が中学時代の私の周囲にも広がっていたのです。

卒業式を迎える1週間前、私はその時好きだったK君に告白する決心をしました。当時つるんでいた友人N子に打ち明け、卒業式当日の打ち合わせをしました。N子が同じクラスなので、様子を見てK君を音楽室に連れて来てくれる。私はそこで待っていて、N子は出て行き、私の告白タイム。手編みの小さなわらじお守りを渡して、好きでした、と語る。と言う筋書きです。

実は、付き合って欲しいと思っていたのですが、当時の私はそこまで露骨というか、女子が積極的過ぎることに恐れを抱いており、わらじお守りを貰って嬉しければ、向こうから申し込んでくれるだろうと、逆にずうずうしい思いを密かに抱いていたのでした。さて当日、私とN子はドキドキしながらK君の来るのを待っていましたが、いつもはとても早く教室に来るK君が、その日に限ってぎりぎりまで姿を見せず、心配がピークになったところでやっと現われました。

式の間、誰が何を挨拶したのかも覚えていないけれど、K君が壇上で卒業証書を貰ってお辞儀していた姿だけがクッキリと記憶に残っています。式の後私とN子は作戦を実行し、わらじお守りを渡すことができました。受け取ってくれた彼は、「何でもっと早く言ってくれなかったの?」と言いました。その朝彼が遅れた理由は、登校途中に他の女子に捕まったからでした。タッチの差で、私は彼女になりそこねたのでした。