今となっては遠い昔の話ですが、幼稚園の卒園式の日の想い出。
卒園式の数日前に、将来結婚しようと約束していた仲良しの男の子が近所の公園のブランコから落ちて大ケガをしてしまいました。意識が全くない状態で病院に運ばれて、次の日も、その次の日も彼の意識は戻らず。「みんなで一緒に卒園できるといいね」とか「小学校の入学式までには元気になれるといいね」と先生は言っていたのに、卒園式の前日にその男の子は亡くなってしまいました。
亡くなったという知らせを、園長先生が卒園式当日に泣きながら話してくれて、生徒もお母さんたちもみんなで一緒にポロポロと泣いていました。でもその時、私だけは涙ひとつ見せることなくみんなが泣いているのをボーっと見ながら、なんで泣いてるんだろうとずっと思っていました。
卒園式の前日に、男の子は亡くなってしまったらしいのですが、私、その日の夜中に、家のベランダでその男の子と一緒にいたんです。いつからいつまで一緒にいたのかは覚えていないし、特に何を話したかもどんなことをして遊んでいたのかも全く覚えていないのですが、一緒にいて楽しかったことだけはしっかりと覚えているんです。
その男の子がもし生きていたとしても、住んでいた学区が違うから小学校は別々になってしまうので卒園したらおそらく二度と会うこともなく忘れてしまっていたんじゃないかな。将来結婚しようねと言っていた仲良しの男の子と、私だけは最期に一緒に遊んで、楽しかったねって言ってお別れ。
昨日の夜一緒に遊んだばかりなのに、楽しくバイバイしたのに、今日になったら亡くなりましただなんて。一緒に卒園したかったといいながら、なんでみんなが泣いているのかが分からなかったみたいです。今でも実家の近くにあるその幼稚園を通るたびに思い出すのが、卒園式の前日に男の子が亡くなったといって流したみんなの涙の意味が分からなかったこと。もしかすると、私はその男の子から一つ幸せだったのかもしれません。